【2026年6月20日号】安全運転管理者とは?法定講習の時期だからこそ知っておきたい企業の交通安全対策
法定講習の時期を迎えて
毎年この時期になると、安全運転管理者および副安全運転管理者として選任されている方々のもとへ、公安委員会から法定講習の受講案内が届きます。
筆者自身も副安全運転管理者として選任され業務に従事しておりますので、毎年講習を受講しています。
講習を受講すると毎年感じることがあります。
それは、
「安全運転管理者の仕事は単なる車両管理ではない」
ということです。
交通事故を未然に防ぎ、従業員の命を守り、企業を守る。
安全運転管理者制度は、そのために設けられた重要な仕組みです。
近年は飲酒運転やながら運転、高齢運転者による事故、さらには企業責任を問われる重大事故などが社会問題となっています。
だからこそ今、安全運転管理者の役割が改めて注目されています。
今回は、安全運転管理者制度の概要や選任義務、法定講習で学ぶ内容について解説します。
安全運転管理者とは?
安全運転管理者とは、道路交通法に基づき一定台数以上の自動車を使用する事業所に選任が義務付けられている管理者です。
主な役割は、
- 交通事故防止
- 運転者教育
- 飲酒運転防止
- 車両管理
- 運行管理
などです。
簡単に言えば、
「会社の交通安全責任者」
と言えるでしょう。
交通事故は運転者本人だけの問題ではありません。
場合によっては企業の社会的信用や経営にも大きな影響を及ぼします。
そのため安全運転管理者は、企業のコンプライアンスを支える重要な存在でもあります。
安全運転管理者の選任義務がある企業とは?
次のいずれかに該当する事業所には、安全運転管理者の選任義務があります。
自家用自動車を5台以上使用している場合
※原動機付自転車は除く
営業車や社用車など、業務に使用する自家用自動車が対象です。
乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している場合
送迎用マイクロバスなどが該当します。
自動二輪車も対象
自動二輪車は1台につき0.5台として計算されます。
例えば、
- 普通車4台
- 大型バイク2台
の場合、
4台+1台=5台
となり、安全運転管理者の選任義務が発生します。
事業所単位で考える
選任義務は会社全体ではなく、
「自動車の使用の本拠地」
ごとに判断されます。
本社・支店・営業所など、それぞれで使用台数を確認する必要があります。
ナンバーのない車は台数に含まれる?
企業様からよくご質問をいただく内容です。
結論から言うと、
原則としてナンバーの付いていない車両は台数に含まれません。
例えば、
- 展示車両
- 未登録車
- 敷地内専用車両
などは通常、選任義務の対象となる台数には算入しません。
ただし特殊なケースもありますので、不明な場合は管轄警察署へ確認することをおすすめします。
20台以上で副安全運転管理者が必要
使用車両が20台以上になると、
副安全運転管理者
の選任義務が発生します。
副安全運転管理者は、
- 運転者管理
- アルコールチェック
- 安全教育
- 運転記録管理
などを補佐する役割を担います。
企業規模が大きくなるほど重要な存在です。
安全運転管理者の9つの業務
法定講習資料でも紹介される、安全運転管理者の9つの業務をご存じでしょうか。
実はこれらが企業の交通事故防止活動の基本となります。
① 運転者の適性等の把握
【道路交通法施行規則第9条の10第1号】
運転技能だけでなく、
- 健康状態
- 運転歴
- 交通違反歴
- 安全意識
を把握します。
② 運行計画の作成
【道路交通法施行規則第9条の10第2号】
過密スケジュールや無理な運行は事故につながります。
例えば『長時間運転』『 過密スケジュール』『 夜間連続運転』
は、避けて余裕のある運行計画を作成します。
③ 交替運転者の配置
【道路交通法施行規則第9条の10第3号】
長距離運転や夜間運転時には交替運転者を配置し、疲労運転を防止します。
④ 異常気象時等の安全運転の確保
【道路交通法施行規則第9条の10第4号】
豪雨・台風・積雪などの際に安全を確保するための措置を講じます。
近年は線状降水帯などの自然災害への対応も重要になっています。
運行中止や経路変更など迅速な判断が必要になります。
⑤ 点呼・日常点検等による安全運転の確保
【道路交通法施行規則第9条の10第5号】
出発前の『体調確認』『車両確認』『安全確認』を行います。
事故防止の基本となる業務です。
事故の多くは「いつも通りだから大丈夫」という油断から発生します。
⑥ 運転前後の酒気帯びの有無の確認
【道路交通法施行規則第9条の10第6号】
現在最も注目されている業務の一つです。
令和5年12月からアルコール検知器による確認が完全義務化されました。
運転前だけでなく運転後の確認も必要です。
⑦ 酒気帯び確認の記録・保存とアルコール検知器の常時有効保持
【道路交通法施行規則第9条の10第7号】
確認結果は記録し、1年間保存する必要があります。
またアルコール検知器を常時有効な状態で維持することも求められます。
⑧ 運転日誌の備え付けと記録
【道路交通法施行規則第9条の10第8号】
誰が、
- いつ
- どこへ
- 何の目的で
運転したのかを記録し管理します。
運転状況を把握し、事故防止や安全指導に活用します。
⑨ 安全運転の指導
【道路交通法施行規則第9条の10第9号】
安全運転管理者の最も重要な業務です。
交通ルールの指導だけでなく、
- 飲酒運転防止
- ながら運転防止
- あおり運転防止
- シートベルト着用
- 危険予測
- 高齢運転者対策
など継続的な教育を行います。
なぜ法定講習が重要なのか?
毎年同じ内容だと思われがちな法定講習ですが、実際には違います。
講習では、
- 福岡県内の交通事故発生状況
- 飲酒運転の現状
- 企業責任に関する判例
- 法改正
- 最新の交通情勢
などが紹介されます。
福岡県は全国的にも飲酒運転根絶への取り組みを強化している地域です。
企業としても、
「うちの会社は大丈夫」
ではなく、
「事故を起こさないために何ができるか」
を考えることが重要です。
アルコールチェック義務化で企業の責任はさらに重く
令和5年12月から、安全運転管理者選任事業所におけるアルコール検知器を用いた酒気帯び確認が本格運用となりました。
現在では、
- 運転前
- 運転後
の確認が義務化されています。
確認を怠った場合は企業の管理責任が問われる可能性があります。
飲酒運転は本人だけでなく、会社にも大きな損害を与えます。
だからこそ安全運転管理者の果たす役割は年々大きくなっています。
東福岡自動車学校から企業の皆様へ
東福岡自動車学校では、免許取得だけでなく、
- 企業向け安全運転講習
- 自転車安全講習
- 各学校向け交通安全教室
- 高齢運転者講習
などを通じて地域の交通安全活動に取り組んでおります。
交通事故は一瞬です。
しかし、その影響は被害者・加害者・企業すべてに長く残ります。
安全運転管理者制度は単なる法律上の義務ではありません。
従業員の命を守り、企業を守り、地域社会を守るための大切な制度です。
法定講習を受講される皆様も、ぜひ「義務だから受ける講習」ではなく、「事故を防ぐための学びの場」として活用していただければ幸いです。
まとめ
✅ 自家用自動車5台以上または定員11人以上の車両1台以上で安全運転管理者の選任義務がある
✅ 使用車両20台以上で副安全運転管理者も必要
✅ ナンバーのない未登録車は原則台数に含まれない
✅ 安全運転管理者には9つの法定業務がある
✅ アルコールチェック義務化により企業の責任はさらに重要になっている
✅ 法定講習は企業の事故防止とコンプライアンス向上に役立つ
企業の交通安全は、安全運転管理者だけでなく従業員全員で取り組むべき課題です。
事故のない職場づくりのために、今一度「安全運転」について考えてみてはいかがでしょうか。

